なかのけん:ボンジュール 南仏のヒッピーさん
画家を志すひとりの「サムライ」が、ヒッピーと共に南仏で過ごした10年間の青春の記録。
ヒッピーとの生活を、おもしろおかしく語ります。
画家を志すひとりの「サムライ」が、ヒッピーと共に南仏で過ごした10年間の青春の記録。
厳しい気候の中、強いミストラルが吹きすさぶ南仏・セヴェンヌ。
この地で25歳から35歳まで過ごした作者が、当時の暮らしを軽快な文章で綴ったエッセイ。
がんこでちょっとはにかみ屋なセヴェルノ(セヴェンヌ地方の人)たちとのユニークな交流を、写真を交えて振り返る。
よそゆきではない、素顔のフランスが垣間見える一冊。
「あまり深く考え込まない。財布の中がちょっとあったかくって、まあまあ元気で、お酒が飲めて、ぐちをいうような友達がちょっといて、あまりたいへんでない仕事があって、これでセヴェルノは幸せというのです。冬寒いけど、暖炉にくべるまきがあり、ネコでもひざにだいて夜をすごせれば、ペナール(!)なのです」
セヴェンヌ 地方 とは、 南仏でも 一番といってよいほど土地が貧しく、 北は マシフ・ソントラル( 山脈)にさえぎられ、南の地中海までは 60 キロある。
めったに話題に出ることのない 南 南部 です。
地元の人は、岩山 や 荒れ地 のことを「 ギャリッグ」 と吐き捨てるようにいうが、これからもわかる ように、土地が貧しいと、この影響は本当に大きい。
セヴェンヌ 地方の ワイン というと、水っぽく、苦味、酸味が強いし、悪いワインということで折り紙つきなのです。
南仏でも 一番貧しい地方といってさしつかえないのです。
ミストラル( 強風)が頻繁に吹き、雨も多く、山脈に流れるガルドン川は簡単に氾濫 する。
当然、日本人は 私 以外だれも住んでなく、たまに 日本人がツーリスト として「 迷い込ん で くる」 と、風の便りで 私の耳に入る、こんなへんぴなところなの です。
自然の景色は 急に途方もなく変化し本当にワイルド。
なにしろ、17世紀には、イギリスの探検家 スティーブンソン という人が探検紀行という本を出して いるほどなのである。
私は ここに1975年から85年の10年間、住んでいました。
日本に帰って16 年も経つが、本にして書きとめておこうと思ったのです。
*ミストラル: ミストラル (フランス語: mistral): フランス 南東部に吹く地方風。
アルプス山脈から ローヌ河谷や デュランス川流域を吹いて加速度を増し、カマルグ周辺の地中海 に吹き降ろす、寒冷で乾燥した北風である。