朝のパン屋はふくれっつら

カルデに住んでいたとき、私の寝室は ちょうどパン屋の裏にあたり、朝 起きて まず窓を開けると、パンを焼くときの香ばしいにおいが、塀を乗り越えて私をおそってくるのだ。

たいていのフランス人の朝は パン屋にパンを買いにいくところからスタートする。


セヴェンヌ地方も同じだ。


特に田舎になると、毎日 同じ人がだいたい同じ時刻に買いにくる。

これがまったくいやな重くるしい雰囲気なのだ。


フランス人は、普段からあまり機嫌がよくないが、特に 朝、前の晩いっぱい飲んだせいか、なおさら 機嫌が悪い。

だいたい同じ人が 1年365 日、毎朝 出くわすのだから これがたまらない。

会ってすぐ「ボン ジュール」というが、次の言葉が出ない。

そしてフランス人のきらいな長い列が、これに拍車をかけている。


愛想がへたなフランス人。


毎日 早起きしているので、パン家の主人もちょっとぶっきらぼう。

こんなけだるい朝から一日がはじまる。

なかのけん:ボンジュール 南仏のヒッピーさん

画家を志すひとりの「サムライ」が、ヒッピーと共に南仏で過ごした10年間の青春の記録。 ヒッピーとの生活を、おもしろおかしく語ります。

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